治療後の腫れ、違和感がある
手術直後の腫れは一定期間(1週間程度)で引いてきます。その後の腫れは感染等が疑われます。適切に洗浄・投薬を続けます。場合によっては再手術も検討します。
違和感も同様ですが、しびれや麻痺等、神経の損傷等が疑われる場合はレントゲン撮影等で確認したうえで判断します。
修復物(上部構造)を装着後の歯肉の腫れはアバットメントスクリュー等のゆるみやインプラント周囲炎等が疑われます。レントゲン検査や歯肉の検査を行い判断します。
仮歯・インプラントが取れた
仮歯が取れる理由は適合不良やスクリューの緩み、仮セメントの溶解さらには咬み合わせの不調和等が考えられます。スクリューの緩みや仮セメントの溶解はスクリューを締め直したりセメントで再仮着することで解決します。適合不良や形態不良の場合は再製作を行い調整を行うのが一番良いのですが、そのひと手間を行わないと解決は難しいでしょう。咬み合わせに関しては担当医の総合的な実力が試される部分でもあります。欠損部分だけの診査で処置をすると最終的に不調和が顕在化することが多いように思われます。
当院ではたとえ1本のインプラント治療であっても総合診査をいたします。もちろんリカバリーが必要な患者様の場合も同様に診査いたします。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎はインプラントを支えている骨そのものが炎症により失われてしまう病気です。また、インプラント周囲粘膜炎はインプラントを支えている骨の欠損がみられないインプラントの周りの歯肉の炎症です。見掛け上はインプラントの周りの歯肉が腫れて違和感があるので同じように判断しがちですが、アプローチは大きく異なります。
インプラント周囲粘膜炎に対しては適切なプラークコントロールを行い、修復物(上部構造)の形態が悪ければ、形態修正や再製作を行い炎症が起きない工夫をして経過をみていけば大丈夫です。
インプラント周囲炎で骨欠損を伴っている場合は現在、回復するための適切な方法はありません。様々な方法が試みられていて一部には治すことができると説明している歯科医師もいるようですが、そのような裏付けられた治療方法は世界的に確立されていないのです。インプラント周囲炎と判断された場合は撤去も含めて今後の方針を検討しなければなりません。
具体的にはインプラントの2/3以上の骨吸収が進んでいる場合はインプラント除去を考える必要があります。それまでのステージでは非外科的にポケット内への洗浄を伴ったインプラント体のクリーニング、さらには外科処置を伴った明視下でのクリーニング、あるいは骨の再生療法にいたるまで様々な治療方法を検討し適応します。
以上のようにインプラント周囲炎になってしまうと治療方法も難しい選択を迫られます。やはり適切なメンテナンスによりインプラント周囲炎にならない、あるいはなりづらい環境を整備しておくことが重要と考えます。予防にまさるものはないと考えております。